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未来を拓く先駆者 グループの力を結集し、ITの技術革新に立ち向かう

DX事業本部 真木 吉人

自分で新しいことを創造する楽しさに目覚める

正直、これをやりたいという具体的な構想をもって当社に入社したわけではないんです。日商エレクトロニクスは海外の商材を扱っているからおもしろそう、今から20年以上前に入社を決めたのは、そんなフワッとした動機からです。

ただ、子供の頃から何か新しいものを自分で作ってみるのは好きでしたね。当時流行っていたドラクエやスーパーマリオのゲームをやってみたくて小学生の頃、父親にファミコンを買ってほしいとねだりました。そこで手に入れたのがNECPC-8001という中古パソコン。ゲームで遊ぶためには自らBASIC言語を学び、プログラムを作成する必要がありました。

当時のファミコンは16色表示だったにも関わらず、与えられたパソコンは8色表示。制限のある環境の中で楽しむため工夫を重ねるうちにパソコンにのめり込み、大学時代まで継続してパソコンをいじっていました。1995年には世の中にインターネットが出現して、ますます面白くなりましたね。スタートアップ企業でアルバイト中に検索エンジンについて学び、当時好きだったハードロックのファンサイトを立ち上げオフ会運営をしたり、自身で広告運用を行い収入を得たり。

そんなバックグラウンドがあっての入社ですので、IT商社という環境には比較的スムーズに適応できたと思っています。しかし、20年前の当社はハードウェアとネットワークが主流で、ソフトウェア志向の自分には人と違う土俵で勝負したいという気持ちがありました。監視ソフトウェアのエンジニアという役割を与えられ、当時は自分にしかわからないニッチなプロダクトをメジャーにしていく喜びを噛みしめたものです。お客様の課題を自らユニークな方法で解決できる点に最も魅力を感じました。

その後、入社7~8年目にはプロダクトマネージャーとしてプロダクト戦略を打ち出すことがミッションとなり、短期NEA(当社USオフィス)勤務や2年間の親会社双日出向を経て、現在はDX分野でのコンサル型提案に携わっています。

AIにより社会インフラ課題解決を目指す

双日出向中に社会インフラに対する興味が芽生え、社会インフラ課題解決の一環として生成AIを用いたビジネスの提案を始めました。現在取り組んでいる事業は三つあります。

  1. 顧客の感覚を論理的に確証するAIカメラやスマホGPSという技術による可視化・分析事業
  2. 実在する物体のコピーを仮想空間に再現するデジタルツインという技術を用いた事業
  3. EV平行充電という技術を用い、一斉充電に伴う電力ピークによる契約電力高騰の回避を実現する事業

それぞれの事業において、プロジェクトが進行しています。一つ目は渋谷AIカメラ100台プロジェクトです。協業ベンダーが通行人数、性別推論、年齢推論のみを採取するAIカメラを渋谷に設置し、当社が気象情報や位置情報、衛星データ等を掛け合わせ、データプラットフォームとして展開します。渋谷の街の収益向上および安心安全に繋げる試みとなります。将来的には協業ベンダーおよび、協業サービサーのエコシステム構築も考えています。

二つ目はリノベーション業者への提案です。古い賃貸物件をリノベーションして販売する事業において、デジタルツイン技術によりデザイナーの業務負荷を減らす試みとなります。リノベーション事業では、通常デザイナーが物件の写真を基に、所在地や周りの環境などの情報を総合的に加味した上でデザインを作成しています。この過程に時間を要するのですが、生成AIを用いて賃貸物件イメージを生成すると、通常3時間かかる工程が数十分で完了するというメリットがあります。デザイナーの2号、3号をデジタルツインで再現すれば、人件費を大幅にカットすることも可能です。将来的には会員制のWebサイトを立ち上げ、デザインとお客様をマッチングさせることができれば面白いと考えています。

三つ目は積水ハウス様への商用EV向けクラウド型充電制御サービスの導入です。2035年までに新車販売の電動車比率100%を実現することが国の目標として掲げられ、近年では、社用車(配送用など)の電気自動車への転換が加速中です。一方、日中に稼働した電気自動車は、翌朝までにバッテリーを満充電にする必要があり、帰社後の電気自動車への一斉充電には、昼過ぎから夕方帯に社会全体の電力需要の集中を加速させる恐れや、電力ピークの発生による契約電力高騰のリスクもあります。当社は、施設内の電力需要を把握した上で、車両の残充電量を常時把握し、翌日始業時刻などの適切なタイミングに分散して充電することにより、施設の購入電力を上限目標値以下に抑制する「EVオートチャージ」を、積水ハウス様の拠点に順次導入中です。将来的には当社が取得した車両データを、双日が推進する再エネ、省電力ソリューションなどにかけ合わせ、データをもとにしたGX推進ができればと考えています。

人との関係性を土台にグループとしての相乗効果を追求したい

昔は一人でパソコンをいじくりまわす子供でしたが、今はチームでのミーティングを重ね、仲間と力を合わせてプロジェクトを立ち上げる過程に喜びを感じます。チームで進めるにはまず合意形成が必要で、SWOT分析を何度も何度も繰り返します。一度決まったことでもお客様の意見や状況の変化に応じ、一からやり直すことも。土台を固めてから進まないとメンバー間のベクトルがドンドンずれてしまい、結局は遠回りになってしまうからです。

以前は海外のプロダクトを見つけ、それを日本で展開していくという単純なビジネスモデルが主流でしたが、今は新たなソリューションを生み出してお客様に価値提供をしないと生き残れない時代になってきました。ITを利用した技術革新が求められる中で、個人や個社での対応には限界があります。双日グループという利点を活かし、双日や他のグループ企業としっかり連携する。それが私の描く未来の当社像です。当社はIT技術商社としての専門性をグループ内で発揮し、グループ企業からは社会インフラや不動産、商業施設などに関するドメインナレッジを吸収すれば、グループ全体の発展につながることでしょう。各グループ企業の多様な視点を結集し、お客様の潜在的なニーズに向き合うことができれば、ビジネスを変革するパートナーとしてお客様と共に新たな社会課題に立ち向かっていけると思うのです。

最近改めて思うのは、どんなことでも人の話をしっかり聞くようにしたいということです。また、当たり前ですが、メールやチャットでのちょっとしたメッセージにも必ず返信することを心掛けています。コミュニケーション手段が多様化した現代において、一つひとつ全てに対応するのは大変ですが、会話はキャッチボールによって成り立つため、受け取ったままにして相手のモチベーションを下げてしまうような状態を作らないようにしたいのです。

何かに集中していると、何気なく言われた一言をうっかり聞き逃してしまうこともあります。そんな時には相手に面倒な人だと思われても気にせず、何度でも聞くようにしています。グループ企業を巻き込んだどんなに大きなプロジェクトであれ、ベースとなるのは一つひとつ積み上げた人と人との関係性だと実感しています。

未来を拓く先駆者