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ケーススタディ 新しい技術に取り組むシステム開発で、業務オペレーションのペーパーレス化・生産性向上を実現(会計伝票承認システム、契約書管理システム導入事例)

双日株式会社

「発想」で新たな価値を創造し、それをビジネスとして「実現」することを表現した企業メッセージ「Hassojitz」をコンセプトに、世界のさまざまな国と地域に向けて事業を幅広く展開している総合商社の双日は、業務オペレーションのペーパーレス化と生産性向上を実現するために、会計伝票承認システムと契約書管理システムを導入した。

Before/After

課題/目的

・伝票承認、契約書管理などで業務のペーパーレス化が進んでおらず、担当者が出社して捺印、承認対応を行なう必要があった
・契約書の原紙でのやり取りに時間と費用がかかっていた

日商エレクトロニクス(以下、日商エレ)の支援により、会計伝票承認システム、契約書管理システムを導入

効果

・ペーパーレス化が進んだことで、場所にとらわれずにリモートワークで業務を行うことが可能となり、コロナ禍で出社ができない状況でも問題なく事業を継続できた
・契約書の原紙のやり取りにかかる時間が短縮でき、印紙代、郵送費などのコストも削減できた

  • 会計伝票承認システム担当
    デジタル推進第二部 業務システム企画課
    吉田 誠氏
  • 契約書管理システム担当
    デジタル推進第一部 デジタル・データ活用推進課
    主任 鹿毛 健広氏
  • デジタル推進第二部 ITインフラ統括課
    上級主任 喬 妍業氏
企業名:
双日株式会社
所在地:
東京都千代田区内幸町2-1-1(本社)
設立:
2003年4月1日
従業員数:
21,912名(連結、2023年6月現在)
URL:
https://www.sojitz.com/jp/ ターゲットブランクアイコン
事業内容:
自動車、航空産業・交通プロジェクト、インフラ・ヘルスケア、金属・資源・リサイクル、化学、生活産業・アグリビジネス、リテール・コンシューマーサービスの7つの本部体制で、国内外での多様な製品の製造・販売や輸出入、サービスの提供、各種事業投資などをグローバルに多角的に展開

課題・目的

リモートワークへの対応とコスト削減が課題

サステナビリティへの取り組みの一環として、従来から双日ではペーパーレス化が推進されており、2020年にペーパーレス タスクフォースが発足された。このペーパーレス タスクフォースのプロジェクトを受けて、双日のデジタル推進第二部で、会計伝票の承認、契約書管理についてそれぞれシステム化の検討が始まった。

会計伝票承認については、これまで基幹システムに登録された伝票を、紙に印刷し捺印、承認作業を行うというオペレーションであったため、担当者が必ず出社して処理をする必要があった。コロナ禍でリモートワークが中心となったこともあり、業務の継続性を維持するために、早急なシステム化が求められていた。

契約書管理については、リモートワークに対応するための承認作業のシステム化に加え、契約書原紙の印刷、収入印紙、郵送にコストがかかっていたのが課題だった。また、契約書郵送のやり取りにも手間と時間がかかっていたため、締結までのリードタイムを短縮したいというニーズもあった。さらに、コンプライアンスの観点から電子帳簿保存法への対応も求められていたため、文書を保存して検索できるしくみを構築したいと考えていた。

選定理由・導入の流れ

Microsoft Power Platform、DocuSignと日商エレクトロニクスを選定した理由

会計伝票承認システムは、検討の結果、Microsoft Power Platform(以下、Power Platform)で独自にローコード開発(※1)をすることにした。社内でリモートワークが普及していく中、迅速にシステム化ができることを最優先にしていたため、既存の製品やシステムを導入するよりもローコード開発の方が導入期間を短縮できることがその理由だった。また、Power Platformは、サーバーなどのインフラが不要なため、コストを抑えられるのもメリットだった。
(※1)最小限のソースコードで業務アプリケーションなどを開発

契約書管理システムは、いくつかの製品を比較検討した結果、国内・海外拠点でも同レベルのサポートを受けられるDocuSignを選定した。さらに、電子帳簿保存法に対応するために、ドキュメントの外部保管と検索ができるしくみを構築する必要があり、すでに導入済みであったBoxに連携することにした。DocuSignとBoxの間のシステム連携はMicrosoft Power Automateを利用し、独自で開発を行った。

これら2つのシステム化プロジェクトを進めるにあたり、双日グループのICT中核事業会社であり、双日社内のIT環境に詳しく、これまで数多くのシステム開発・導入経験を持つ日商エレに支援を依頼した。また、日商エレはMicrosoftプライムパートナーであり、同社製品に関する知見・導入実績が豊富であるのもアドバンテージだったため、日商エレの持つ知見と技術力を活かしながら、一緒に詳細要件・仕様を詰めていくこととなった。

導入にあたって苦労したこと

会計伝票承認システムの構築で、一番の問題となったのはパフォーマンスだった。Power Platformは基本的にスケールアウトでスペックを上げることができないため、必要なパフォーマンスを出すために、試行錯誤をしながらシステムのチューニングを行った。例えば、ユーザーインターフェースを充実させると、システムのパフォーマンスが落ちるという問題が発生したが、開発途中でパフォーマンスを優先した仕様に変更を行い、問題を解決することができた。また、Power Platformは新しい商材であったため、メーカーのMicrosoft社でも技術的な知見・情報がまだ少なく、同社とも協力をして問題を一つずつ解決していった。

契約書管理システムでは、ローカル環境でDocuSignのみの利用で検証を行った際は問題なく稼働していたものの、Power Automate経由でBoxへ外部連携しようとするとうまく動作しないという事象が発生した。DocuSignとBoxでAPIなどの仕様が一致しておらず相性が悪かったことが原因だった。メーカー側でも両製品を連携させた実績がなく、前例のない試みであったため、技術的な問題を解決し、稼働させるまで苦労をした。その他、DocuSignの標準的な仕様では双日社内の業務ルールに対応ができなかったため、例えば保管文書ファイル名の文字数制限を拡張するなどの仕様変更も併せて対応した。

効果

導入効果

会計伝票承認システムは約9カ月、契約書管理システムは導入に約4カ月と、当初予定していたスケジュールよりも少し時間がかかったが、両システムとも大きな問題なく導入・リリースをすることができた。

会計伝票承認システムでは、2022年度で数十万件単位の伝票が電子化され、紙コストの大幅な削減に繋がっている。また、A4用紙1万枚当たり13.6kgのCO2が削減効果があると言われており、サスティナビリティ(環境)の取り組みにも貢献している。

契約書管理システムでは、モバイル端末でも契約書の署名ができるようになったことで社外からでも回付することができるようになり、契約締結までのリードタイムが短縮された。2022年度実績で6,280件の契約書をシステムで処理しており、特に約60件を超える海外とのやり取りの時間削減効果は大きい。さらに電子契約では印紙代や郵送代が不要となったため、コスト削減にもつながっている。

また、導入直後コロナ禍により社員が出社できない状況が続いたが、両システムを導入していたため、リモートワーク下でも問題なく業務を継続することができた。現在は導入から2年経過しているが、特に大きなトラブルもなく、システムを活用して業務を行っている。

日商エレクトロニクスへの評価

会計伝票承認システムの導入担当である、デジタル推進第二部 業務システム企画課 吉田 誠氏は、日商エレクトロニクスについての評価を次のように語る。

「伝票回付業務の電子化フロー構築にあたって、内部統制と会計の要件を満たすための社内ルールが数多くありましたが、それらに対応する形でシステムを企画・構築いただき、感謝しております。紙業務で実現していた統制・利便性を維持したフロー構築やタイムスタンプ連携・BOXとの繋ぎ込みなど、痒い所に手が届く形での構築を行っていただきました。他のシステムに比べて組み込みのしやすいPowerAppsの特長と日商エレクトロニクス様の技術力の両方があったからこそ、実現できたと考えております」

デジタル推進第二部 業務システム企画課 吉田 誠氏

また、契約書管理システムの導入支援についても、評価をいただいている。

「DocuSignとBox連携の連携はこれまで実績がない新しい取り組みで、技術面で対応が難しいことも多かったですが、約4カ月という短期間で実現していただき感謝しています。これまで紙で回覧していた契約書を社外からスマートフォンで承認できるようになったことで、時間が大きく短縮できており、コスト削減を含め効果を感じています」(デジタル推進第一部 デジタル・データ活用推進課 鹿毛 健広氏)

「DocuSignだけでなく、連携先であるBoxの設定に関してもユーザー目線で使いやすい構成を検討いただき、システム全体として最も良い構成を企画・提案いただきました。また、技術者目線での積極的な構成アドバイスだけでなく、技術課題に直面した際にも各ベンダーとスムーズな連携を行っていただけたと感じています」(デジタル推進第二部 ITインフラ統括課 喬 妍業氏)

デジタル推進第二部 ITインフラ統括課 上級主任 喬 妍業氏

今後の展望

双日グループ会社への拡大も視野に展開

契約書管理システムについては、既に双日グループ会社に展開しているがまだ導入社数が少ないため、引き続き双日グループ会社へ導入を進めたいと考えている。世の中の電子化の流れもあり、契約書管理システムに興味のあるグループ会社は多いものの、新しいシステムを一から検討するハードルが高かったため、これまであまり導入が進んでいなかった。双日で契約書管理システム化の実績ができたため、双日グループ全体としてペーパーレス化とリモート対応を進めていきたいと考えている。

「最近は生成AIなどの新しい技術が企業でも活用されてきていますので、それらを活用したソリューションの導入や立ち上げの難しい部分について、今後も日商エレクトロニクス様に技術支援いただきたいと期待しております」(鹿毛氏)

デジタル推進第一部 デジタル・データ活用推進課 主任 鹿毛 健広氏

写真左から
日商エレクトロニクス株式会社 SG事業本部 事業推進部 三課 課長 湊 扶
双日株式会社 デジタル推進第二部 業務システム企画課 吉田 誠氏
双日株式会社 デジタル推進第二部 ITインフラ統括課 上級主任 喬 妍業氏
双日株式会社 デジタル推進第一部 デジタル・データ活用推進課 主任 鹿毛 健広氏
日商エレクトロニクス株式会社 SG事業本部 事業推進部 一課 柳原 知行
日商エレクトロニクス株式会社 SG事業本部 事業推進部 三課 福冨 昭憲

ケーススタディ

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