2021年12月10日

【ブログ】
CIO・CFOは、今後のITインフラ投資を
どう考え、どう判断すべきか?

こんにちは。日商エレクトロニクス、HPE製品担当の上條です。
IT投資が今後のビジネスを左右する現在。多くの企業のCIO・CFOにとって、ITインフラへの投資を中長期的な視点から考えることが必要になりました。しかし、変化が激しい中での投資判断は難しいものがあります。そこで、今回は、将来のIT投資を見通す視点を養うための重要な5つのポイントを紹介します。 
※事業部アーキテクト:ここでは、各事業部門・業務部門に所属し、企業の経営戦略・ビジネス戦略をもとに、システムやアプリケーションの構想・設計・企画やシステムのグランドデザイン、それを実現するためのシステム全体を形作る構造の設計を行う担当者を指します。

【その1】 ITインフラのあるべき姿を明確にする

CIO・CFOにとって、ITインフラの将来像を考えることは何より重要です。今後も社会は変化し続け、ビジネスや人々の働き方もそれに伴い変わっていくことでしょう。その時に、IT の活用は不可欠となりますが、変化に対応しビジネスに追従できるITを選定する必要があります。こうしたビジネスの変化に即応するスピードを獲得できるようになるために、DXやクラウドファーストといった観点でITの変革が求められているわけです。
一方、顧客や従業員の観点からは、使いやすい・働きやすい環境が求められるでしょう。それは、ITインフラを意識せずに、アプリケーションやITサービスを利用できる環境です。短期間での構築は難しいかもしれませんが、このようなITの将来像を描き、社内に示すことが求められます。

【その2】「あるべき姿」に至るロードマップを描く

「「将来のITインフラ像」が明確になったら、そこに至るまでの具体的なロードマップを描きます。そのためには、現状のITインフラの課題を洗い出して、あるべきITインフラとのギャップを探っていく必要があります。そのギャップから、中間地点を明らかにしていくことになるでしょう。
例えば、現在が旧来型のオンプレミスならば、システム・ファイナンスの面で解決する方法を検討しなければなりません。その選択肢の1つとなるのが、中間地点としてのハイブリッドクラウドです。
パブリッククラウドに移行できるシステムは移行することで、システムの柔軟性を確保でき、ファイナンス面でもOPEX(※1)に移行できるでしょう。オンプレミスにせざるを得ない環境もまだ残るかもしれませんが、その場合には「従量課金型のオンプレミス」を採用することで、オンプレミス環境もコンサンプションモデル(※2)にすることができます。

※1 OPEX(Operating Expenditure):運営をしていく上で継続して必要となる費用。システムの運用コストを指す。
※2 コンサンプションモデル:コンサンプション(consumption)は消費の意。「必要な時に必要なモノをサービスとして利用」する、モノからコトへ転換するモデル。
  所有から利用へと転換することで、資産としてではなく経費として計上できるようになる。

【その3】社内システムの問題点を認識する

まず取り組むことになるのが、現状の社内システムの全体像を把握し、課題の洗い出しです。調査すると様々な問題点が浮かび上がってくるはずです。その中でも今、多くの企業で問題視されているのが、全社システムの分断(※)です。
システム分断の結果、新規ビジネスに取り組もうとしても、一部の部門は追従できないため変化に即応しにくい、社内の情報共有がしにくく足並みが揃わない、社内共創が生まれにくいなど、現在の企業のビジネスに多くのデメリットをもたらします。この問題は早急に解決する必要があると認識すべきです。
※ 全社システムの分断:事業部門や拠点ごとに個別にシステムを持つことで、情報やノウハウが共有しにくい状態。システムが分断され、それぞれ孤立している状態を「サイロ化」と呼ぶこともある。

【その4】システム分断の根本原因を知る

実は、システム分断の根本原因は10年以上前にあると考えられます。2010 年頃、多くの企業が全社的に運用管理を統合できる全社統合基盤(※ 1)を導入しようとしました。
目指したのは、全社で統合管理することで、セキュリティ対策やガバナンスが徹底しやすく、ビジネスの変化にも柔軟に対応できる、理想的なシステムでした。
全社システムを統合するプロジェクトを先導したのが、経営層と情報システム部門・IT 部門(以下、情シス)で、LOB(事業部門、業務部門)(※2)が置き去りにされてしまったことが挙げられます。そして、システム分断を招いた原因とは、経営と情シスとLOB の分断にあることから、この三者があるべきI Tインフラに向けて取り組むことが重要なテーマの1つになることがわかります。

※1 全社統合基盤:企業内に乱立するサーバやシステムを統合し、運用管理を一元化したシステム基盤。
  全社統合することで、ビジネスの変化へのすばやい対応、全社導入によるコスト最適化、運用負荷の軽減につながる。IT 統合基盤、データ統合基盤、全社IT 基盤と呼ぶことも。
※2 LOB:Line of Business の略語で、もともとはビジネスの主要業務、基幹業務や主要アプリケーションを指す。事業部門、業務部門をLOB 部門と呼ぶこともある。
  本資料では主に、事業部門や業務部門を指す言葉として用いる。

【その5】全社視点・中長期的視点でプロジェクトチームを作る

システム分断を解消し、全社統合基盤を持つこと、そしてあるべきITインフラを実現するためのプロジェクトには、ベストプラクティスがあるわけでも、共通解があるわけでもありません。しかし、プロジェクトチームを発足する時には、過去の失敗の歴史を繰り返さないことはできます。
その1つが、LOBのプロジェクトへの関与です。LOB が入らないと、ビジネスとIT が乖離しやすくなる可能性があり、それが再びシステム分断を招く原因となりかねないからです。プロジェクトチームではLOB、経営層(CIO、CFO)、情シスが協業し、三位一体となりプロジェクトを進めることが、成功のためのポイントです。

まとめ

今回はCIO・CFO の方に向け、新たな時代に向けたIT 投資の5つのポイントをまとめました。将来のIT像を見据えた中間地点、そして現在のITとそれにつながる過去からの課題など、未来・現在・過去を見通す視点が今後は求められるのではないでしょうか。 
また本ブログでは、将来のIT投資を考えるためのポイントをダイジェストでお届けしましたが、詳細はぜひ、下記の資料をダウンロードしてご一読ください。
日商エレクトロニクスでは今後も、CIO・CFOや事業部アーキテクト向けに最適なITインフラ構築とIT 投資に関する情報を提供します。ぜひ最新情報をご確認ください。

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上條 優子

上條 優子
日商エレクトロニクス株式会社
プラットフォーム本部 第二プラットフォーム部 HPE GreenLake推進課
HPE製品 マーケティング担当