Innovation Leading Company

NEA Interview

強さの秘密 日商エレクトロニクス Vol.12

スタートアップを活用したビジネスをお客様と共創する Manager 能登(のと) 秀一 スタートアップを活用したビジネスをお客様と共創する Manager 能登(のと) 秀一

日商エレクトロニクスは、従来のハードウエアの代理店販売を中心としたビジネスから、SaaSなどソフトウエアも取り込んだビジネスへの転換を図っている。そうした中、米国拠点であるNISSHO ELECTRONICS(U.S.A.)CORPORATION(以下、NEA)は、米国から次々に生まれてくる優れたスタートアップを発掘し、その技術を生かすビジネスモデルを考案。日本企業と共に新規事業を創出するというミッションを担っている。この共創ビジネスこそが、これからの日商エレクトロニクスが目指す姿である。

NEAの新たなビジネスモデル

ここ数年、日商エレクトロニクスのビジネスは大きく変化している。以前はネットワーク機器などのハードウエアの代理店販売を柱としていたが、現在は、SaaSを中心としたソフトウエアにも注力している。常に新しい分野に挑戦し、最先端のICTを提供するという「Innovation-Leading Company」の精神は不変だが、業態をシフトさせているのだ。
とはいえソフトウエアビジネスには、これまでにない課題がある。ハードウエアであれば導入支援に始まり、販売後も保守対応などで顧客と継続的な取引が発生するが、顧客自身でも設定が可能なSaaSのようなソフトウエアになるとそうはいかない。場合によっては、日商エレクトロニクスは単なる取次だけになってしまう。そうなると顧客とのつながりは希薄になってしまい、日商エレクトロニクスの存在理由がなくなってしまう。

では日商エレクトロニクスとしては今後、どういったところにビジネスの立ち位置を見いだしていけばよいのだろうか――。こうしたミッションを背負い米国で活動しているのが、NEAでManagerを務める能任秀一である。NEAは日商エレクトロニクスの米国現地法人として1985年に設立。現地シリコンバレーの文化を熟知し、35年以上の歴史で培ってきた人脈と目利き力が強みだ。

「ここ米国で優れたスタートアップを発掘するのがNEAの使命ですが、それだけではありません。スタートアップの技術や機能を活用するビジネスモデルも併せてお客様に提案しています」と能任は語る。能任は、お客様と共に新規事業を創出していくという日商エレクトロニクスの新しいアプローチ方法の先駆者だ。

2013年に日商エレクトロニクスに中途入社した能任は、主にVDI(仮想デスクトップ)やWeb会議のZoomなど、働き方改革を推進するためのソフトウエア製品の営業を担当してきたが、もともと海外で活躍したいという思いが強く、NEAへの駐在希望を出し続けてきた。

その念願がついに叶ったのが、2019年4月のことだ。こうしてNEAへ赴任した能任は、有力なVC(ベンチャーキャピタル)へのコンタクト、世界最高峰のスタートアップ養成スクールとも評されるY Combinator(YC)をはじめする事業者が開催する各種イベントへの参加、他社の駐在員との情報交換など、日本市場で大きな飛躍が期待できるスタートアップの発掘に向けて、精力的な活動を開始した。


米国スタートアップ「Truebill」を活用した事業共創を目指す

ただ順風満帆とはいかない。ようやく米国にも慣れ、活動が軌道に乗り始めた頃に突如襲ってきたのが新型コロナウイルスのパンデミックだ。「NEAが拠点を構えているシリコンバレーのサンノゼでもロックダウンが長期にわたって続き、外出禁止を余儀なくされました」と能任は振り返る。

もっとも悪いことばかりではない。「コロナ禍で危機感をもった日本企業の間で、デジタルトランスフォーメーション(DX)に対する意識が数年前には考えられなかったレベルで高まっていることを、米国にいながらもひしひしと感じます」と能任は言う。

実際、変革の基盤となるスタートアップの技術を求めて、ベイエリアにも他国を圧倒する数の日本企業が集まってきているという。

こうした中、能任が主導する共創ビジネスが動き始めた。それは、パーソナルファイナンスのスタートアップ「Truebill」のスマホアプリを活用した新規事業のビジネスモデルを提案するものである。
ちなみにTruebillは、米国の有力VCであるAccelが主導して4500万ドル(約49億3000万円)の資金調達を実施したことで知られる、現在グローバルでも注目されているスタートアップのひとつだ。同社が提供するスマホアプリの特長は、ユーザーが契約しているすべてのサブスクリプションを一元的に管理できるほか、不要なサブスクリプションをこのアプリから解約でき、さらに携帯電話やケーブルテレビについてはTruebillが値引き交渉まで行ってくれることにある。

「私自身もサブスクリプションで利用している多くのサービスの中に解約を忘れ、料金を支払い続けていたものがありました。値引き交渉まで代行してくれるこのサービスを体験し、日本のB to C市場でも必ず大きな需要を得られると確信しました」と能任は言う。

能任はユーザーに対して新しい体験を提供するためのテクノロジーを求めていたB to C企業とTruebillを結び付けることで、新たな価値を創出できると考えたのだ。

「顧客にTruebillを活用してもらうことで、さまざまなサブスクリプションのリアルな支払い情報を得ることができます。その情報を活用してターゲットとなるユーザーに事業共創パートナー企業のより良いサービスをお届けすることができると確信しました。」(能任)。

能任は、事業共創を共に目指すパートナー企業の新たな価値を創出できる新規事業案を日々検討しながら提案活動を行っている。さらにユーザー視点でより響くサービスとすべく、デザイン思考の手法を取り入れながらパートナー企業と議論を重ねている。ビジネスモデルも具体化しつつあり、実現に向けて大きな手応えを感じているという。


事業創造の2つのフェーズを一貫してサポート

着実に経験値を高めている能任は、現在次の4つの基本方針に沿ってスタートアップの発掘にあたっているという。
1つめは、資金調達(投資)ラウンドにおいて「シリーズB」または「シリーズC」に位置付けられているスタートアップであること。

「このステージに達しているスタートアップは、すでに米国のマーケットに受け入れられた存在と判断できます」(能任)

2つめは、有力な投資家に支えられていること。米国にはAccel、Kleiner Perkins、Y Combinatorなど有力なVCがいくつも存在する。

「そうしたVCがバックについていること自体が、スタートアップの成長性を裏付けるひとつの指標となっています」(能任)

3つめは、日本で同じようなサービスがまだ存在しないこと。
そして4つめは、事業創造で伴走しようとする日本企業のビジネスと親和性が高い、もしくは企業のアセット(資産)をうまく活用できることである。

「ユーザーの未知のニーズを満たすサービスかどうか、事業共創を共に目指すパートナー企業のアセットを活かせるかどうかが最も重要なポイントです」(能任)

もちろん上記のような基本方針をすべて満たしたスタートアップを発掘できたとしても、実際に日本企業と引き合わせて共創ビジネスに発展させていくことは容易なことではなく、多くの苦労が伴うことが予想される。だが、「そうした状況こそ日商エレクトロニクスの強みとしたい」と能任は前向きだ。

パートナー企業とのデザイン思考ワークショップの様子
現地企業とのランチミーティング

これぞと思うスタートアップを発掘して日本企業の顧客に事業創造を提案し、その内容が受け入れられれば、デザイン思考のワークショップやPoC(概念実証)などを通じてビジネスモデルを固めていく。そして当然のことながら、そのサービスがローンチしたあともマーケティングやカスタマーサクセスなどの策を提供しながら伴走し、事業のさらなる発展を図っていかなければならない。このように事業創造では大きく分けて、ゼロから1を生み出していくフェーズと、1の規模からスモールスタートしたビジネスを10に成長させていくフェーズがある。

「私が現在担当しているのはゼロから1を生み出すフェーズです。次のフェーズも一貫して日商エレクトロニクスがサポートすることで、同業他社やその他のコンサルティング会社にはない強みにしたいと考えています」と能任は説明する。

そして、「そうした日商エレクトロニクスの新たなビジネスを牽引できるキーパーソンを目指したい」と、能任は将来に向けて力強く語った。

シリコンバレーで35年以上にわたり活動し、米国での最新のDX事例の紹介や、斬新なスタートアップの発掘ならびに日本企業とのマッチングサービスを通じて、お客様のDX実現とイノベーション推進を支援しています。

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