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RPA Interview

強さの秘密 日商エレクトロニクス Vol.5

労働力の新しいカタチ「デジタルレイバー」で業務改善・自動化を推進。企画開発室 デジタルレイバーコンサルタント、三浦王介、千葉矢貫、西澤智司 労働力の新しいカタチ「デジタルレイバー」で業務改善・自動化を推進。企画開発室 デジタルレイバーコンサルタント、三浦王介、千葉矢貫、西澤智司

企業内の事務作業を自動化する「デジタルレイバー」が注目されている。日商エレクトロニクスは、RPAを主軸にAI-OCRも活用したデジタルレイバーサービスの本格的な展開を開始した。その最前線に立つ3人の「デジタルレイバーコンサルタント」が、社内トライアルを通じて蓄積した知見とノウハウを武器に、幅広い企業の業務改善・自動化を支援し、人間とデジタルレイバーが協業する新たなワークスタイルを提案していく。

新時代の新ビジネスを担う企画開発室

昨今、注目を集める「デジタルレイバー(Digital Labor)」。ITやAI(人工知能)を駆使し、ルーチンワークを自動化するソリューションだ。人間がパソコン上で行っている操作を代行する「RPA(Robotic Process Automation)」が代表的な技術である。
日商エレクトロニクスは2017年4月、ビジネスソリューション事業本部に企画開発室を新設。AIなど新技術を利用したソリューションの開発・提供により、新しい価値を生み出すことをミッションとする組織だ。そこに所属するのは、三浦王介、西澤智司、千葉矢貫の3人である。

2010年に中途採用で入社した三浦は、以前の会社から主にERPやBI、ECM(エンタープライズコンテンツ管理)などのエンタープライズ・金融系システム導入においてコンサルティングやプロジェクトマネージャーを数多く担当してきたリーダー格である。
西澤は2004年に新卒で入社して以来、自社製の債権管理総合パッケージ「ACC」の開発、BPM(ビジネスプロセス管理)製品を基盤にした業務システムの開発、NEA(日商エレクトロニクスの米国法人)での新規ベンダー発掘を経た後、BPMのコンサルティングや業務プロセスの分析/可視化、プリセールスを担うなど、豊富な業務経験を誇る。
そして2010年に新卒入社した一番の若手である千葉も、ACCの開発やプロジェクトマネジメントで手腕を発揮してきた技術のスペシャリストだ。
旧所属部門で活躍していた彼らは、新ビジネスにチャレンジすべく企画開発室へ集められた。

「市場やテクノロジーの急速な変化とともに、日商エレクトロニクスのビジネス環境も大きく変化しています。そうした中、日商エレクトロニクスとして具体的に何をすべきか。ヒントになったのは、これまで多くのお客様と接して肌身で感じていた、より高度な業務改善・自動化に対する潜在的なニーズです」。西澤は異動当時をこう振り返る。


経験を積むために社内トライアルを実施

より高度な業務改善・自動化に対する潜在的なニーズに応えられる技術として、企画開発室のメンバーはRPAに注目。関連商材の発掘に注力した。
ただ、いくら素晴らしい商材を見つけても、それだけでは不十分だ。RPAのように各企業の業務プロセスと密接に結びつくソリューションの場合、一般的なパッケージ製品のようにただ販売するだけでは、ユーザーのビジネス成果に貢献できないからだ。

「RPAを効果的に活用するためには、どのような業務に導入すると効果が上がるのかを精査したり、お客様の業務フローに合わせてソフトウエアを適切に設定したりする必要があります。また、RPAを導入するために、お客様の業務の一部を改革しなければならないケースも考えられます。コンサルティング的な要素が重要なため、ツールに詳しいことに加え、私たち自身の業務ノウハウが問われます」と三浦はこのビジネスの課題を語る。

とはいえ、企画開発室はできたばかり。どうすれば効率的にノウハウを得られるか。3人が出した答えは、社内トライアルの実施だった。さまざまな日商エレクトロニクスの社内業務に実際にRPAツールを適用することでノウハウを取得し、同時に効果を測定するというアイデアだった。

そのためには、社内の他部署に協力してもらうしかない。3人は経営陣を通じてルーチンワークが多そうな経営企画部、財務経理部、人事総務部といった管理部門に協力を仰いだ。そして2017年6~8月の3カ月間、初めての社内トライアルを実施した。 RPAツールの大きな特長は、Excel、Webブラウザー、CRM(顧客関係管理)など複数のアプリケーションにまたがる操作を自動化できる点にある。言い換えれば、現在複数のアプリケーションを用いて行っている業務は、RPAによる自動化に適している。さらには、RPAツールが業務ルールにのっとって処理をするために、業務マニュアルが整備されていることが望ましい。こうした条件を示し、まず各部署にRPAを適用できそうな業務をピックアップしてもらった。すると、約60の業務が候補として挙がってきた。

続いて、企画開発室のメンバーが業務担当者にインタビューして業務フローを洗い出し、RPAツールを導入した場合に期待できる効果を推定した。その結果を踏まえ、60の業務の中から、比較的短期間で効果を得られやすいと思われる9業務を選択。RPAツールの導入トライアルを行ったのである。

社内トライアルの結果、特に大きな効果を得られたのが営業活動の進捗状況管理だった。経営企画部ではSFA(営業支援システム)で管理されている各営業マンの毎週の売り上げ実績をコピー&ペーストでExcelに転記し、事業部ごとに集計したレポートを作成し、イントラネットを通じて配信していた。この一連の操作を丸ごと自動化したのである。

「従来この集計作業には一人の担当者が毎週金曜日の午前中3時間をフルに費やしていたのですが、RPAツールを導入した現在はチェックするだけで済み、すべての作業が20分程度で完了するようになりました。手作業では避けられなかったコピー&ペーストのミスなどを排除できたのも大きな成果です」と西澤は強調する。

もちろんすべての業務で十分な効果を上げられたわけではない。例えば財務経理部が担当している在庫管理などは15%程度の工数削減しか得られなかった。

「Excelで別途管理している品番と実際の在庫を突き合わせながら各事業部に振り分けるといった、その都度人の判断が要求される操作をRPA化するのはやはり困難でした」と三浦は説明する。

こうしたトライアルの経験を踏まえ、企画開発室の3人はRPAを導入しやすい業務とは何かを徹底的に話し合った。そうした議論から得た結果が、以下の5つに該当する業務である。

1. マニュアルが用意されていて、それを見ればだれでも対応できる業務
2. 作業そのものは単純でなおかつ分量が多い業務
3. 日次や週次など定期的に実施しなければならない業務
4. ExcelとWebブラウザーなど異なるシステム間の煩雑なデータ転記をする業務
5. 定型伝票への大量のデータ入力をする業務

「RPAをやみくもに導入しても効果は上がりません。どのような業務に適用すればいいのか見極めることが重要だというのが、社内トライアルを通じて得たわれわれの結論です」と西澤は総括する。

社内トライアルを経て、日商エレクトロニクスではRPAをはじめとする事務作業の自動化関連技術を「デジタルレイバーサービス」として展開することになった。

「企画開発室の現在のミッションは、デジタルレイバーを安全に導入・戦力化できるようサービスとして提供することです」と三浦は話す。

RPA運用ノウハウ実践セミナー 会場風景
RPA運用ノウハウ実践セミナーでの講演

デジタルレイバー本格導入期の課題に向けて

企画開発室ではさらなるノウハウを蓄積するため、2017年11月から第2期のトライアルも推進中だ。さまざまなRPAツールの有効性を探るため、第1期とは異なるRPAツールを活用している。

「今回はデジタルレイバーを全社的に展開するため、当社のIT部門である情報企画部と一緒に作業を進めています。その結果を踏まえながら、運用ルールの整備を進める計画です」。西澤は第2期トライアルの狙いをこう語る。

同時に、AI-OCRのトライアルも行っている。従来型のOCR(光学式文字読み取り装置)では対応できなかった非定型フォーマットの帳票や手書き文字を機械学習によって認識できるようにするのが「AI-OCR」だ。多くの取引先から寄せられてくるさまざまな書式の請求書をAI-OCRで読み取り、共通項目からデータを抽出する。

「RPAを導入する前に既存の紙書類を電子化したいというニーズも多く、その際にAI-OCRが必要となります。AI-OCRとRPAを組み合わせることで、基幹システムに登録されている支払い予定データと請求データの照合まで一気に自動化したいと考えています。1枚1枚の請求書を目視でチェックしている現在と比べ、財務経理部の担当者の作業負荷は90%以上削減できると試算しています」。千葉は期待を込める。

ただし、社内トライアルでいくら効果が実証できても、こうしたツールが一般に普及していくには、解決すべき別の課題があるのも事実だ。例えば、万が一設定したRPAが誤動作を起こしてビジネスに損害をもたらした場合、「その責任をだれがとるのか」という問題も起こりかねない。

「想定される課題を解決するガイドラインを整備していくことが、重要なカギとなるでしょう」。三浦はこう強調する。

「すでにデジタルレイバーサービスに対する引き合いも数多く来ています。数年後には売り上げ規模でもユーザー数でも日商エレクトロニクスを代表する事業の一つになるよう、われわれのスキルもさらに向上させていきます」。西澤は最後に力強く語った。

日商エレクトロニクスはRPAとAI-OCRにより産み出されるソフトウエアのロボットを労働力(デジタルレイバー)として安全に戦力化させる、デジタルレイバーサービスを提供します。

デジタルレイバーコンサルティングサービス、RPA・AI-OCRインテグレーションサービス、ロボットファクトリーサービス(人材派遣)、RPA教育サービス、ロボットメンテナンスサービスの5つのメニューをご用意しています。

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