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働き方改革/テレワーク基礎講座(1)「働き方改革/テレワーク」が話題になっている理由

2017年12月28日

働き方改革/テレワーク基礎講座(1)「働き方改革/テレワーク」が話題になっている理由

「なかなか良い人材が獲得できない」「求人しても応募が少ない」――今後の日本では、世界的に例を見ないくらいの少子高齢化社会の到来が予測されています。その結果、懸念されていることの1つが労働力人口の低下による、"人材不足"です。市場のグローバル化が進み、市場競争が激化している今日。日本企業は大きな変化の時を迎えようとしています。こうした社会の変化と「新しい働き方」や「働き方改革」には、どのような関係性があるのでしょうか?
そこで、<働き方改革/テレワーク基礎講座>と題し、その基本的な考え方について解説します。人事、総務、営業部門などの方にお読みいただきたい内容になっています。第1回は、まず、働き方改革が求められる背景と、その実現が難しい現状をご紹介します。

なぜ、企業は働き方を変えなければならないのか?

人材不足や人材流出が企業にもたらす"負のサイクル"

求人・採用に大きな課題を抱える時代が、目の前まで来ています。その理由は「労働力人口」の変化です。右図の生産年齢人口(15~64歳)の変化に注目してみましょう。2013年に7,883万人だった生産年齢人口が、2020年には7,341万人と約500万人減少、2030年には6,773万人と約1,000万人減少するのです。この統計が教えてくれるのは、単に将来推計だけではありません。「現在、すでに労働力人口の減少は始まっている」という事実です。

では労働力人口が減ることで、企業にとってどのようなデメリットがあるのか整理すると、次のようなことが挙げられます。

  • 求人コストの増加
  • 離職率減少策のための出費
  • 優秀な人材がより良い条件の企業へと流出(人材流出)
  • 慢性的な人手不足による競争力低下、顧客満足度低下
  • 人材不足による、ノウハウ継承の困難
  • 競争力低下が招く減収・減益や市場評価の低下
  • 新規事業展開が困難 ...など
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ここからは、人材不足や人材流出による競争力の低下などが業績の悪化を招き、さらには評価も下げる...という、企業が負のサイクルに陥ってしまう可能性すらあると言えるでしょう。そのため多くの企業にとって「人材確保」は急務。

そのために、従業員が妊娠中や育児期間中、介護に携わっていながらでも働きやすい仕組み、有給休暇などが取りやすい環境、在宅勤務が実現できる仕組みなど、「新たな働き方」に注目が集まっています。より働きやすく、柔軟に働ける職場環境づくりが、人材確保のための1つの効果的な策と考えられているのです。

先進国中でも労働生産性が低い日本企業

新たな働き方に注目が集まる理由はほかにもあります。その1つが市場競争の激化です。ITの進化は、国境を超えたビジネスを容易にし、市場のグローバル化という変化をもたらしました。日本企業は世界という"荒波"の中で戦っていかなければならず、競争力の強化や生産性向上が大きな課題となっています。

しかしながら、日本企業にはある"弱点"があります。それは、先進国の中でも労働生産性が低い点。右図の調査(日本生産性本部「日本の生産性の動向」)によると、OECD加盟34カ国の中でも第22位という順位に位置付けられています。低い順位ではありますが、逆に生産性を改善する余地が大いにあるという見方もできるでしょう。

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「新たな働き方」の抵抗勢力とは?

人材の確保や生産性向上のためにも、これまでの働き方を大きく変革させる必要がある――つまり、「働き方改革へのニーズを感じている」という企業は約8割にも上るという統計情報があります。

しかし、現実的には働き方改革を妨げるような要因が企業にあるのも事実です。大きく分けて「時間」「場所」「IT」による制限が考えられます。それぞれの具体的な例を挙げてみましょう。

「時間」による制限

時間による制限の代表的なものが、労働時間を基準にした評価制度による制限です。

多くの企業では、業務内容とその結果に応じた成果報酬型の給与体系ではなく、労働時間による評価制度を取り入れています。今後、時間が取れない状況下でいかにバランスよく効率的に働き、成果を上げていくかという課題をクリアするには、この時間報酬型の給与体系は矛盾する立ち位置になります。育児や介護を考えた柔軟な働き方を目指す場合、実現性を阻害する大きな要因になり得ます。

「場所」による制限

一般的な企業では、企業が設定する時刻までにオフィスに一律で出社しなければなりません。一方で、外出が多い営業部などでは、オフィスに立ち寄るよりも外で業務をした方がはるかに効率的な場合があります。

また、育児や介護等で業務時間が短くなってしまう状況下では、遠距離のオフィスへの通勤時間を業務に当てることができれば、時間短縮が可能です。固定の場所で仕事をしなければならない状況もまた、柔軟な働き方の阻害要因となるでしょう。

「IT」による制限

企業が貸与するPCや携帯電話、スマートフォン、タブレットなどの情報端末は、企業は利用ルールやセキュリティポリシーを定めており、従業員はそれに則った使い方をしています。

しかし、安全性を重視するあまり、PC持ち出しを禁じていたり、個人のPCは使用禁止にするなど、最終的には、会社に戻って仕事をしなければならず、利便性が犠牲になっていることもあります。自宅から介護をしながら業務を行いたい、外出先でも業務を行いたいというニーズに対して、個人の情報端末を安全に使える仕組みを採用するとともに、利用ルールやポリシーを、全社横断的に考えることが、新たな働き方を考える場合には必要になります。

このように「時間」「場所」「IT」などにおける、さまざまな制限を排除することが、新しい働き方の実現には重要となります。