2019年11月25日

よりInvisibleに、そしてDisruption=創造的破壊を恐れずに .next Tokyo 2019イベントレポート

2019年9月13日(金)、ザ・プリンスパークタワー東京にてNutanix社によるカンファレンス「.NEXT Japan 2019」が開催された。「Invisible Clouds, Visible IT」というコンセプトでNutanixの描く未来のビジョンやソリューションが発表された。
本年はDisruption=創造的破壊をテーマに、キーノートに元大阪府知事の橋下徹氏、クロージングに厚切りジェイソン氏(IT企業勤務)が登壇するなど、注目を集めるセッションが多数設けられた。本レポートでは基調講演の内容をダイジェスト形式でご紹介します。

「企業を変革し成功に導く3つのD」

基調講演に先立ち、まずニュータニックス コーポレートバイスプレジデント兼社長の町田栄作氏が登壇した。町田氏は「今回の『.NEXT Japan 2019』では、今年は70拠点で世界最大規模のハイブリッドクラウドのカンファレンスを開催、 日本では5回目の開催となる」とここまでの歴史を振り返った後、
「今回のテーマは"ディスラプション=創造的破壊"。今までの当たり前を新しい当たり前にする」と述べ、米Nutanix 創立者、代表取締役会長兼CEOのディラージ・パンディ氏へとバトンタッチした。

続いて登壇したディラージ氏はNutanixの成長過程を踏まえながら、企業のビジネス成功のカギとなる"3つのD"について紹介した。

「3つのD」とは、「Data(データ)」「Design(デザイン)」「Delivery(デリバリー)」を指し、ユーザーの情報システム環境の刷新を行うにあたり、三つのテーマ(データ、デザイン、デリバリ)でユーザーの不便を解決していった。
「データ」は管理、守る、拡張性をさし、AOSのリリースからCitrix、VMwareへの対応やデータの拡張(構造化、非構造化データ対応)を通じてNutanixとしてデータを自在に扱えるようにしてきたと語った。
「デザイン」はシンプル化を指し、Prismによるシンプルな管理、ワンクリックアップデートによる運用、Prism Proやcalmによる自動化を通じてシンプルな運用を実現、すなわちいままでは更新するために様々な手続き、調査が必要だったがそれを刷新した。と初期リリースのPrism画面を紹介しつつ、過去10年のUIの変化を語りながら進化の過程を語った。
「デリバリー」はソフトウェア、サブスクリプション、OEMモデル等の多様な提供形態をユーザーに合わせてそろえることを指す。過去数年にわたり継続的にOEMモデル、対応ハイパーバイザーを拡張することで顧客に選択の自由を提供できるようにしてきたと語った。
そして、これら3つの動きを通じてNutanixではインフラをシンプルに提供するための製品をそろえてきたと語った。
3つのD 前半最後にNutanixのマノジ・アガワル氏が壇上に上がり「Xi(ザイ)」ハイブリッドクラウドサービスについてデモンストレーションを行い、2019年冬から2020年春にかけてリリースされるサービスの概要が紹介された。
中でもXi leap(Nutanixが運営するマネージドDRサービス)の紹介に時間が割かれた。「いままであるベンダーではDRの設定に際して140項目の設定があったが、これを1/10にしたい。」と、ここでもシンプルなアーキテクチャーを目指す姿勢が紹介され、日本のユーザーにもしっかりとしたアーキテクチャーのもとにデリバリーできると結び、期待をうかがわせる紹介となった

「今のことがうまくいかないならば、すべて逆にする」
大阪改革の軌跡

次に、創造的破壊といえばまさしくイメージ通りの、元大阪府知事橋本徹氏が登壇した。橋下氏は大阪府知事時代に行ったこととして「今までやってきたことを全部逆にする。逆張りの施策を打つ」と述べた。人口増加という施策課題に対して、今までは集約の施策を打ってきたが効果が出ていない。大阪はヒトモノカネを集約でなく、中継させることで経済が伸びていったことを踏まえて、それであれば「これまでと全く逆のことをやればよい」と自身の政策立案を振り返った。
橋下氏は、"職員と府民の意識改革が必要であり、絶対にできないことを体験させる"ということを行ってきた。その第一歩が「大阪城西の丸庭園の利用法」。今まで芝生を守るためという名目で大阪城公園の芝生ではイベント禁止であった。そこで芝生そのものをはがしてred bull xgames のモトクロス会場にしてしまった。芝生はイベント翌日には綺麗に直っていた。
このような取り組みから市職員も意識が変わり、御堂筋でF1を走らせる等いろいろなイベントが広がった。と、とにかくパワフルな橋下氏は最後に改革に必要なこととして「中途半端に行うことはNGであり、ディスラプションには意識改革をやり続けないといけない」として締めくくった。

Nutanixのビジョンと最新テクノロジー
- 企業のクラウドジャーニーの勘所 -

後半にはNutanixのラジブ・ミラニ氏が登壇し、企業のデジタルトランスフォーメーションを支援するために提唱しているクラウドジャーニー(道のり)に関するビジョンについて語った。
ラジブ氏は「カバーするワークロードを広げることと、各ワークロードに提供する価値を高めることの2つの軸で最大化を図ることで、クラウドへのエクスペリエンスを最大化することを目指している。 そして、企業がデジタルトランスフォーメーションを実現するためには、HCIからプライベートクラウド、マルチクラウドへと至るクラウドジャーニーが必要であると考え、 これを支援するべくイノベーションを継続している」と述べる。またAHVの採用状況についても紹介があり、全世界での採用率は47%, 日本国内の直近は半分がAHVになっているとの共有が行われた。

具体的な取り組みとして、下記の紹介があった。
HCIの領域では、
     
  • HPEおよび富士通とのグローバルパートナーシップ
  • HCI初めて本番環境でのSAP HANA認証を取得

プライベートクラウドの領域では
  • Nutanixが提供する「Files」の分析ツールである「File Analytics」
  • セカンダリストレージ「Mine」

「File Analytics」では、管理画面のダッシュボードから、システムにホスティングされているデータの状況やファイルタイプの情報、監査に必要な情報を確認することができるという。
「Mine」は、セカンダリストレージをシンプル化するソリューションで、各種バックアップソフトとネイティブに統合し、管理画面からバックアップやアーカイブの運用、キャパシティの拡張などが可能になる。
また、シンプルなデータセンターを実現するための新たな取り組みとして、コンプライアンス管理サービス「Beam」のプライベートクラウドへの対応、SDN製品「Flow」のActive Directory連携、機械学習を活用してインフラ運用を最適化する「Prism Pro」の拡張機能などを紹介した。  最後に、マルチクラウド領域に向けた最新ソリューション「Xi Clusters」の概要についてエバンジェリストの島崎氏より解説があった。上記サービスはAWSベアメタルサーバー上でオンプレミスと同等のHCIクラスタを実行できるだけでなく、オンプレミスに構築されたHCIクラスタをAWSベアメタルサーバーに移行することもできるという。AWS上の「Xi Clusters」で動作する様子を、デモを交えて解説した。

おわりに

今回のテーマは「ディスラプション=創造的破壊」。Nutanix社は過去20年間の3階層モデルをはじめとする既存のITインフラを破壊する といわんばかりの迫力あるキーノートでした。既存のインフラを破壊しお客様の運用をシンプルにすることを我々日商エレクトロニクスもご支援させていただきたいと思います!