Cisco SD-WAN(旧Viptela)を利用したSD-WAN技術検証レポート

2018年2月 5日

Cisco SD-WAN(旧Viptela)を利用したSD-WAN技術検証レポート

クラウドやモバイルの普及に伴い、企業WAN環境の柔軟な変化に応える新技術として、「SD-WAN」が注目を集めています。今回は、最新のSD-WAN技術を搭載したCisco SD-WANを利用して、ゼロタッチプロビジョニングとネットワークの経路選択について検証した内容をご紹介します。
なお、検証結果は株式会社ボスコ・テクノロジーズと日商エレクトロニクス株式会社により2016年に行われたCisco SD-WAN製品の共同検証結果によるものです。

1. 注目のSD-WAN、重要な2つの検証ポイント

SD-WANとは、拠点間をつなぐWANをソフトウェアによって統合、一括管理し、仮想的なネットワークを実現するソリューションです。次のようなメリットが期待できると言われています。

  1. ゼロタッチプロビジョニングが実現できる
  2. アプリケーション志向で容易にトラヒックを制御できる
  3. 短時間でネットワークを構成できる
  4. どこでも同じセキュリティポリシーで運用できる

しかし、SD-WANを利用することで、どれほど短い時間でネットワークを構成できるのか、実際の運用を想定したトラフィック切り替えにかかる所用時間はどれぐらいなのか...などといった具体的な内容については、まだ十分な情報がないのが現状です。

そこで今回は、SD-WANソリューションのパイオニアであるCisco SD-WANを実際に利用して、ゼロタッチプロビジョニングによる短時間のネットワーク構築と、アプリケーショントラフィックの制御について、弊社で行なった検証結果をご紹介します。

なお、評価は下記のシステム構成で、VPNを構成する想定で行いました。

2. ゼロタッチプロビジョニングに関する検証とその結果

ゼロタッチプロビジョニングでは複数のデバイスの設定にかかる作業時間を大幅に削減することが期待されています。では具体的に、ゼロタッチプロビジョニングに必要な作業やそれらの作業の所要時間はどれぐらいになるのでしょうか。実際に検証を行った結果がこちらです。

検証結果: ゼロタッチプロビジョニングにかかる所用時間

Cisco SD-WANに必要なプロビジョニングは、メーカー側での作業とユーザ側の作業の二種類がありますが、それぞれの所要時間は下記のような結果になりました。

[メーカーでの作業]

  • 機器購入してから届くまで: ~2日
  • 初期コンフィグ投入: 30分

[ユーザでの作業]

  • コンフィグ作成(テンプレートの作成、テンプレートを利用するデバイスの選択、遅延、パケットロス管理等ポリシーの設定): 30 分 ~ 1 時間
  • プロビジョニング: 10秒

ユーザ側での作業は、テンプレート・ポリシーの作成にかかる時間がほとんどを占めています。また、テンプレート・ポリシーを利用するデバイスの選択は非常に容易で、いちどテンプレート・ポリシーができてしまえば、設定するデバイスが増えてたとしても、デプロイにかかる時間的影響は少ないという結果が得られました。

ゼロタッチプロビジョニング検証の手順等、詳細についてはこちら

3. トラフィック制御に関する検証とその結果

次に、Cisco SD-WANによるトラフィック経路の切り替えにかかる所用時間について検証を行いました。具体的には、経路障害発生時の自動的な経路切り替えのパターンと、アプリケーションごとに事前に設定した許容できる遅延時間(パケットロス率)に応じた最適な経路選択の2つのパターンについてそれぞれ、検証を行いました。

検証結果: 最適なネットワーク経路の選択

[経路障害発生時の自動的な経路切り替えにかかる所要時間]
通常時の経路の遮断と回復を擬似的に行い、遮断時のバックアップ経路への切り替え所用時間、ならびに復旧後の通常経路への回復所用時間を計測しました。

[アプリケーションごとの遅延時間(パケットロス率)に応じた最適な経路選択]
通常時の経路で遅延、パケットロス率が一定値を超えたら退避用経路へ切り替える、というシナリオで検証を行いました。

[経路切り替えにかかる時間]

■障害検知にかかる時間

  • 障害発生時:一定期間検出用パケットを受信しなかった場合
    デフォルト: 6秒
  • 復旧時:検出用パケットを一つでも受信した場合
    デフォルト: 1秒
  • 設定により短縮可能

■トンネルを作成・経路の再計算

  • 約3秒

Cisco SD-WANにおけるゼロタッチコンフィグ検証の手順等、詳細についてはこちら

まとめ

今回の検証を通して、ゼロタッチコンフィグによるプロビジョニング作業時間の大幅な短縮(実質2日程度)
が可能であること、そして遅延・パケットロスをトリガーとした迅速な(3~9秒程度)
自動経路選択が可能であることが確認できました。簡易にVPNを構成できるという観点で、Cisco SD-WANは非常に有益であるといえます。

今回ご紹介した検証のより詳細なレポートに加え、SD-WANの紹介解説、特徴の評価なども掲載した充実の資料はこちらからダウンロードできます。ぜひダウンロードしてご一読ください。

最新SD-WANソリューションの実情と技術検証

資料へのリンク