ローカル5Gと性能監視

「ローカル5G」に大きな注目が集まっています。さまざまなISPが実証実験に積極的に取り組んでいます。本ページでは、ローカル5Gの構築時に見落としがちな「性能監視」の必要性について説明します。
ローカル5Gのネットワークは複雑

ローカル5Gのネットワークは複雑!!!

ローカル5GのネットワークはISP様が日ごろ運用している固定回線網とは大幅に構造が異なります。5Gコアと呼ばれるネットワークがあり「制御プレーン」「ユーザープレーン」の2つから構成されます。制御プレーンでは、端末の認証を行ったり、適切な帯域を割り当てたりします。ユーザープレーンは制御プレーンの指示に従い、実トラフィックを流していきます。すべてのモジュールが、うまく連携し、動作をしているうちは何も問題はありません。過去にモバイルのネットワークで発生した事象では、ユーザープレーンのメンテナンス時にActive-Standbyの切り替えに失敗し、結果的に認証をつかさどるコンポーネントがダウンし、大きな影響が出た事例があります。

モバイルネットワークで起きた障害事例​

ここで4Gのネットワークで過去実際に発生した障害事例について紹介をします。実際に行った操作はP-GWのアクティブ機をスタンバイ機に切り替える操作です。しかし、最終的には、加入者情報を管理するHSSがダウンし、大きな影響を及ぼしています。この事実がわかるまで数カ月の解析期間を費やしました。この例はあくまで4Gの例ですが、5Gでも起こりうる事象です

モバイルネットワークで起きた障害事例
こうした問題を回避するには

こうした問題を回避するには

ご紹介した例はあくまで一例となります。こうした問題をいち早く気付くためには「各ノードのセッションが正しく行われているか」「ノード間の通信が正しい通信(量)となっているか」を日々可視化する必要があります。​​5Gコアネットワークを構築する際には、こうした可視化が提供されることが必須です。​​​ローカル5Gでは、比較的安価でオープンな5Gコア製品が選定されていきます。しかしながら、それら5Gコアベンダーが推奨する可視化ツールはオープンソースであったり、あまり使いやすくないツールだったりします。そのため、多くのISPが5Gコア製品とは別に可視化製品を調達しています。設計時に5Gコア製品が、別途調達する可視化製品にパケットなどの情報を提供できるかを製品選定の段階で確認しておくことが重要です。

遅延の測定は常時行うことが必要

遅延の測定は常時行うことが必要

「障害に気づく」という視点で、可視化が重要であることはご理解をいただけたかと思います。一方、5Gの要件にある「低遅延」をどう実現していくかを考えていかなければなりません。遅延は必ず発生します。さらに遅延は一定ではなく状況の変化があれば増えたり減ったりします。そのような状況でどのように低遅延を担保するのでしょうか?その第一歩は「遅延を常時測定する」ことです。通常時の遅延と乖離が一定レベル発現したら、アラートを受けて事前に決めておいたレスポンスプランを実行する必要があります。​ 都度測定では、傾向性を見ることが困難です。そのため、低遅延を実現することは難しいです。常時、監視する必要があります。

NETSCOUT社の性能監視

NETSCOUT社の性能監視製品では、5Gコアネットワークのキャプチャ情報をInfiniStreamNG(ISNG)が受け、nGeniusOne(NG1)にて「遅延」「再送」などの性能監視をレポートします。原因追及の際にはパケットデータまで一つの画面でドリルダウンしていきます。直感的な操作で、運用者も簡単に分析をいただくことができます。nGenius Session Analyzer(NSA)は、3GPPによって規定された5Gコアの通信の流れに沿ってセッションをラダーで表示します。一目でどこが障害ポイントになっているかを分析することができます。

NETSCOUT社の性能監視