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2016年03月29日

【10分でわかる】ストレスチェックの義務化って?うつ社員を生まない職場のつくり方

労働安全衛生法改正により、従業員50人以上の事業所はストレスチェックの実施が2015年12月から義務化されました。しかし、ストレスチェックをただ「遂行するだけ」では根本的な課題解決には至らないでしょう。ここでは、メンタルヘルス対策の重要性や、ストレスチェックをスムーズに行うためのサービス、具体的な取り組み事例などをご紹介します。

ストレスチェック制度が始まった背景とは?

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そもそもストレスチェックとはどのようなものなのか? なぜ義務化されたのでしょうか。

「ストレスチェック」ってどんなことをするの?

「ストレスチェック」とは、ストレスに関する質問票に労働者が記入し、それを集計・分析することで、ストレスの状態を調べる簡単な検査です。これによって、労働者自身は自分のストレスに気づくことができ、企業側としては、うつ病をはじめとするメンタルヘルス不調者が出ることを防いだり、職場環境を改善したりしやすくなると期待されています。

実際にストレスチェックを行うのは、医師・保健師などの第三者です。個人の検査結果は労働者に直接通知され、「高ストレス」と判断された本人が希望する場合、医師による面接指導を受けることができます。また、努力義務の範囲ですが、企業側は部署ごとなどの「集団分析」結果の提供を受け、職場環境の改善に取り組むという流れです。

なぜストレスチェックが義務化されたの?

労働政策研究・研修機構の調査によれば、6割弱の事業所で、メンタルヘルスに不調を抱えている正社員がいます。国は以前よりメンタルヘルス対策をするように呼びかけてきましたが、企業側の対策はなかなか進んでいません。そのため、ついに国がストレスチェックの「義務化」に乗り出したというわけです。

メンタルヘルス対策をしないと大きな損失を抱える!?

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メンタルヘルス問題を放置することで、企業は経営上のリスクをも抱えることになります。具体的には、次のようなリスクがあるでしょう。

  • 休業・退職による優秀な人材の喪失
  • 人的ミスの増加による生産性の低下、トラブルの増加
  • メンタルヘルスに不調を抱えた従業員の同僚や上司のストレス増加
  • 安全配慮義務違反、労働災害認定、民事訴訟による巨額の請求や社会的信用の低下

メンタルヘルス問題がもたらす日本の損失金額は、合計すると一兆数千億円にのぼるとも言われています。健全な企業経営のためにも対策を急ぐ必要があるのです。

あなたの職場は大丈夫?

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メンタルヘルス疾患は、原因を明白にしづらい面があります。「自分の職場は大丈夫!」と考えていても、実は問題が潜んでいるかもしれません。

メンタルヘルスの原因は本当に「本人の性格」のせい?

先の労働政策研究・研修機構の調査では、事業所が認識しているメンタルヘルス疾患の原因は、「本人の性格の問題」が 7 割弱を占めてトップ。メンタルヘルス疾患を患った社員がいても、「本人の性格のせいだから仕方ない」と片付けている企業が多いことがうかがえます。

しかし実際には、職場環境に原因があることも少なくありません。実際、うつ病などの精神障害による労災請求件数も増えています。「本人が弱かっただけ」で終わらせず、職場や仕事に問題がなかったのか、内部でしっかりと調査・分析する必要があります。

「職場のメンタルヘルス対策はどこまで進んでいる?

では、みなさんの職場のメンタルヘルス対策はどこまで進んでいるか、簡単にチェックしてみましょう。最低限、メンタルヘルス疾患を患った社員が「解雇や不当な処遇をされることがない」こと。「プライバシーがしっかり尊重される」ことはクリアすべき条件です。

加えて、下記の条件を満たしている企業は、よりメンタルヘルス対策に力を入れているといえるでしょう。

  • 社内にメンタルヘルス対策を推進する担当者がいる
  • 従業員や管理職に向けて、メンタルヘルスに関する研修・講演会などを実施している
  • 従業員の個別のストレス状況を企業側が把握している(残業状況や負担などの勤務状況やプライベートでの育児・介護負担など)
  • 直属の上司や同僚に知られることなく相談できる専用窓口がある
  • 一度休職した従業員の復職を支援する制度がある

企業が積極的に利用したい制度&サービス

まだ対策ができておらず、これから社内制度を充実させたいと考えているなら、積極的に外部の制度・サービスを活用していきたいものです。国が行う支援から、民間のサービスまで代表的なものをご紹介しましょう。

国の支援を有効活用

専門家によるストレスチェック制度導入の支援や、管理監督者を対象としたメンタルヘルス教育を無料で受けられる制度など、国の支援はぜひ有効活用したいものです。

また、従業員50人未満の事業所では、現状ではストレスチェックの実施が任意です。しかし、複数の事業所の合同でストレスチェックや医師との面接指導を行った場合には、費用の助成を受けることができます。

外部委託サービスで簡単・安心にメンタルヘルス対策

民間企業による「従業員支援プログラム(EAP)」と呼ばれるサービスを導入する企業も増加中です。ストレスチェックの実施だけではなく、カウンセリングや従業員への研修、企業のメンタルヘルス対策全般に関するコンサルティングなども行われています。

ストレスチェックに対応したクラウドサービスやアプリも登場

ストレスチェックに対応した新しいサービスも登場。例えば、「じぶん予報」は音声を入力していくだけで自分自身やチーム全体の気分をチェックできるアプリです。また、日立製作所の「従業員健康管理クラウドサービス/ストレスチェック」をはじめとして、ストレスチェックからデータの管理・分析までウェブ上で行えるサービスもあります。実施企業の事務的な負担を最小限に抑えることができるでしょう。

先進的な取り組みをした企業事例

最後に、メンタルヘルス対策に取り組んだ企業の成功事例も参考としてご紹介します。

【1】相談窓口を整備

社員が気軽に相談できる窓口を整備することで早めに対策を講じ、メンタルヘルスの悪化を防ぐとともに、職場環境を改善させることができます。

メンタル不調者による退職者数の増加を懸念した飲食料品小売業を営む某企業(従業員約4,000人)では、およそ1年に1回行う人事面談で全従業員に向けて不安なことや悩みを聞くようにしました。また、社内に心理相談室を設け、店舗の管理監督者の求めに応じて出張カウンセリングも実施。その結果、1年で560件の相談が寄せられ、社員やパートタイマーからメンタルヘルスへの関心が高まったという声が聞かれるようになっています。

【2】社員の意識改革

社員のメンタルヘルス疾患に対する意識を高めるために、研修を行うことも効果的です。

90名中14名もの社員が精神疾患であるとわかった某企業では、管理職に対する研修を行い、相談対応のロールプレイや「メンタルヘルス・マネジメント(R)検定」の受験を推進。その結果、社内での自発的な相談が活性化しました。また、3年間継続して取り組んだ結果、その後の1年間、新たな精神疾患者が出なかったという成果も出ています。

【3】社外の支援プログラムを活用

メンタルヘルス疾患により休業した従業員が、復職しやすい環境づくりをすることも大切です。主治医の診断書が提出されて復帰可能となったら、職場復帰支援プランを作成し、どのような配慮や対応をすべきかを考えていきます。職場復帰支援は、個々の従業員の状況に合わせて考えていく必要があるため、専門家との連携も不可欠です。

例えば、「試し出勤制度」を導入している企業では、長期間の休業していた社員の復帰にあたり、5日連続の出勤にならないよう木曜日から出勤を始めました。また、初日は2時間のみの出社で、業務はせずに身の回りの整理や読書のみ。徐々に時間を延ばしていくことで、無理なく復帰することができました。

また、別企業では産業医の勧めで、都道府県の障害者職業センターによる「職場復帰(リワーク)支援」を利用。ストレスに関連するプログラムを12週間受けたのち、短時間勤務を経てスムーズに職場復帰しています。

職場の健康維持にメンタルヘルス対策が急務!

形だけのストレスチェックの導入ではなく、本格的なメンタルヘルス対策をすべき時期が来ています。メンタルヘルス対策を講じることで、企業としてのリスク回避につながり、職場の健康も保たれます。今の職場に足りないものは何か、従業員が求めているものは何なのか。しっかり見極めながら一歩ずつ着実に対策を進めていきたいものです。

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