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2016年04月05日

女性管理職が多い会社は生産性も高い!働きやすい職場のヒケツ

時代の変化により、以前より女性が働きやすい社会になりつつありますが、政府主導の数々の政策にもかかわらず、会社における管理職の女性比率は伸び悩んでいます。しかし、女性管理職の増加が、組織の競争力に与える影響は大きいと言われています。今回は、女性管理職が増えない原因を考察し、解決の方向性を提示します。

女性管理職の登用は「途上国」並みの日本企業

総務省統計局「労働調査結果」によると、2014年における女性労働力人口は2,824万人で、2013年から20万人も増加し、労働力人口全体の43%を占めています。アメリカ(46.9%)やフランス(47.5%)と大差ありません。しかしながら、同年の女性非正規労働者の割合は、男性21.7%に対して56.6%。女性の多くがパートやアルバイトなどに従事しており、現実は、雇用の質が改善されているとは言い難いようです。

さらに、管理職の中で女性の占める割合は、もっと深刻です。企業の課長以上や管理的公務員を指す「管理的職業従事者」に占める女性比率となると、アメリカ43.1%、フランス39.4%に対し、日本はわずか11.1%という途上国並みの数字。2020年に女性管理職比率30%という政府が掲げる目標が達成できるとは、到底考えられない状況なのです。

グローバルビジネスで厳しい競争を強いられている日本企業にとって、これは先進諸国との大きな違いです。今後は、女性のリーダーシップを生かす組織作りをすることが、勝利への秘策となり得るかもしれません。

女性が管理職になれないのは組織の問題

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労働人口の増加にもかかわらず、なぜ日本では女性管理職が増えないのでしょうか。理由としてよく挙げられるものに、以下の2つがあります。

スキルや勤続年数において適任者がいない!?

まずは、女性管理職の候補を挙げるのが難しく、スキルや勤続年数を考慮すると、そもそも適任者が多くないということです。実際に、人事関連のポータルサイト「日本の人事部」の調査によると、「女性管理職を増やす上での問題」として、1位には「候補となる従業員の不在」(56.7%)が挙がっています。

ただしこれは、女性のスキルや能力がもともと低いわけではなく、組織が女性管理職に必要なスキルアップのための教育を怠った結果でもあります。産休や育休でキャリアの中断を余儀なくされる女性は、昇給に必要とされる勤続年数が男性より短くなりがちです。結婚・出産を経ても女性が活躍できるような支援制度や環境整備の遅れが、適任者不在という状況を招いていると言えるでしょう。

管理職を希望する女性社員がいない!?

次に、これまで多くの企業が女性を管理職へ登用していなかったためか、長期間労働や評価体系などの働き方において不安が大きく、管理職を希望する女性が少ない傾向もあります。さきほどの調査によると、「候補となる従業員が管理職登用を拒否」という直接的な理由は13.9%で7位だったものの、「長時間労働など働き方における問題」が33.9%(2位)、「人材戦略において女性活躍推進策が不明確」が23.4%(4位)、「女性管理職を受け入れにくい社内の雰囲気」が18.7%(5位)、「転居を伴う転勤の問題」が11.0%(8位)と、職場が女性管理職を受け入れる態勢にないことが見てとれます。

ところが、人材紹介・再就職支援サービスを行うパソナキャリアカンパニーが実施した「女性管理職の意識・実態調査2015」では、女性管理職になることに対して半数以上が不安を感じていたものの、「管理職にならなければよかった」と回答した人はわずか9.7%でした。当初は気が進まなかった女性本人も、実際に上司の立場になってみると成果も上がり、満足度も高かったことが分かります。組織の制度や環境を整えれば、女性管理職が力を発揮できる余地は十分にあるのです。

女性が管理職になれない組織は、能力のある男性のやる気も奪う!?

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女性管理職の適任者や希望者がいないという状況が生まれるのは、女性は出産や育児でキャリアが中断しがちだという理由があります。そのため、管理職に必要な勤続年数やスキルの積み上げが難しいのです。

昇進年齢の見直しも解決策のひとつ

こうした状況を打破する解決策のひとつが、昇進年齢の見直しです。日本は、終身雇用制度が一般的だった頃の名残があってか、国際的に見て、課長への昇進年齢が遅いと言われています。例えば、リクルートワークス研究所の「五カ国マネジャー調査」によれば、中国での課長昇進年齢は平均28.3歳、インドでは29.2歳であるのに対し、日本は38.6歳。その後、部長昇進年齢は44.0歳と、他国と比べて圧倒的に昇進年齢が高い傾向にあります。もし日本でも中国・インド並になれば、課長になって落ち着いてから出産という選択肢も可能となります。

昇進年齢が遅いと、男性も含めた能力のある若手社員のモチベーションを下げてしまう危険性もあります。女性が管理職になりやすい組織は、能力のある男性のやる気を引き出すことにもつながるのではないでしょうか。

社外ネットワークを生かせ

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また、女性が管理職を希望しない理由には、社内にロールモデルが不在で、管理職になる自分をイメージできないという声も多くあります。女性上司や管理職の不在により、後任の女性管理職が育たないという悪循環が生まれているのです。過渡期である今、女性管理職の育成ノウハウを蓄積している企業が少ないのはやむを得ませんが、社内だけで解決しようとせず、積極的に社外ネットワークを活用するのも一案です。すでに始まっている、そうした取り組みをご紹介します。

異業種交流会での学びを会社へフィードバック

2015年10月には、東京海上日動火災保険やみずほフィナンシャルグループ、丸紅、日立製作所など6社が東京都内で、異業種ネットワーキングフォーラムを開催しました。各社から20代後半~30代前半の女性社員約120人が参加し、各社のロールモデルによるパネルディスカッションや参加者同士でグループ討議を行ったとか。

そうした動きは地方にも広がっています。12月には、NTT東日本、第四銀行、損害保険ジャパン日本興亜の3社が新潟県で開催した、異業種交流を目的としたキャリアアップセミナーには、県内で働く30~40代の女性職員38名が参加。各社の取り組みや女性管理職によるマネジメントスキルを学びました。

このように、該当する女性社員を積極的に社外に送り出し、新しいノウハウを持ち帰ってもらうことは、組織の活性化に役立ちます。

「女性が活躍できる企業は業績がいい」のは本当か?

これまでも触れてきましたが、各種アンケート調査からも、女性の活躍を促す対策が男女にかかわらず有能な人材の活用につながり、企業業績へ良い影響があることが具体的に示されています。

「男女かかわらず有能な人材活用ができた」企業が7割

人材採用関連のサービスを提供するエン・ジャパンが「女性活躍(定着・管理職割合)」について行った調査では、約6割の企業が「女性活躍により企業業績へ良い影響がある」と回答しています。企業のイメージアップになることに加え、女性社員だけでなく男性社員の意欲向上や人材登用へもつながると考えられているようです。帝国データバンクによる「女性登用に対する企業の意識調査」でも同様の傾向が明らかになっており、女性の活用や登用を進めている企業のうち、7割以上が「男女にかかわらず有能な人材を活かすことができた」という効果を実感しています。

こうすれば増やせる女性管理職

女性管理職を増やすことが、男性社員も含めて能力ある社員の力を生かし、競争力にプラスになることがお分かりいただけましたでしょうか。そのために必要なことは、女性が結婚・出産でキャリアを中断されずに昇進できる制度やオフィス環境、社内の雰囲気作りです。そして、そうした中で女性管理職が活躍することが、後進を育てることにもつながっていくのです。

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