2021/11/01

DXの秘訣はAs a serviceとデータ利活用

皆さまは、経済産業省と東京証券取引所が共同選出する「DX銘柄」をご存じでしょうか。
これまでの「攻めのIT企業銘柄」改め、2020年からはデジタル技術を前提とし、ビジネスモデル等を抜本的に変革し、新たな成長、競争力強化につなげていくDXに取り組む企業が選出されています。
2021年は、株式会社日立製作所とSREホールディングス株式会社の2社がグランプリとして選出されています。両社ともデジタル技術とデータを活用し、社会に大きな価値を提供しています。
本記事では、DX実現において重要な役割を担うデータ、そのデータを活用するために必要となるAs a Serviceモデルについて考察していきたいと思います。

こんな人にオススメ!

■DXについて情報収集したい人
■As a serviceの活用ポイントがわからない人
■データ利活用の事例を知りたい人

1. DXとは?

経済産業省によるとDXとは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、 顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、 プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」を意味し、以下2つに分類されます。

デジタイゼーション/デジタライゼーションによる業務効率化

デジタイゼーションとは紙などで保存していたアナログのデータをデジタルの形式で取り扱えるようにするプロセスです。
より深くデータの分析を行うことが可能になり、DXの第一歩となります。
デジタライゼーションとはデジタル化したデータを活用しビジネスモデルや業務に取り入れるプロセスです。
サービスの利便性の向上や業務効率化を実現することが可能になります。

ビジネスモデルを変革し、社会に価値を提供する

ビジネスモデルを変革し、社会に価値を提供するとは何なのか、ここで一つ事例を紹介したいと思います。
ZOZOTOWNで有名な「株式会社ZOZO」もDX成功企業の一社です。
株式会社ZOZOは店舗販売ではなくインターネット上で服を選び、購入まで完結するシステムを展開しています。
デジタイゼーション、デジタライゼーションを経て店舗販売が中心だったアパレル業界へサービスの利便性をもたらしました。
さらに、ZOZOスーツ(ユーザーの体型を分析するための服)から得た体型のビックデータを活用したマルチサイズプラットフォームを展開し、 最大56のサイズから自動で顧客にあったサイズを選んでくれるといったサービスを始めました。
これまでのネット販売では実現しなかった試着の課題を克服し新たな価値を生み出し、ビジネスモデルに変化をもたらしています。
他にも、検寸、検品などの業務で作業の自動化やデータ連携を行うことで効率化を図るといった取り組みも行いました。
(参考:https://udemy.benesse.co.jp/training/digital_transformation/dx-case.html)

このように、DXとはデータのデジタル化による業務効率化からはじまり、最終的にビジネスモデルに影響を与え、社会に大きな価値を提供することをさします。
では、そのDXを実現するための要素として必要なデータ利活用によるメリットや
データ利活用のためにかかせないAs a Serviceモデルを取り入れるメリットについて触れていきたいと思います。

2. データ利活用のメリット

データ利活用はDX推進の大きなポイントです。
ここではデータ利活用がどのような点でビジネスに影響を与えるのかをご紹介します。     

ユーザー体験、システムの利便性向上

データを高度な分析ツールにかけたり、必要に応じて様々なサービスと連携させたりすることにより、 データが新たな価値を生みだし、ユーザーのニーズに応えるサービス提供につながります。
また、業務で利用しているシステムの観点では利便性向上によりデータの運用がしやすくなることでさらなる業務プロセスの最適化が可能になります。

業務の生産性向上

データのデジタル化により組織間でのデータ共有が活発になります。
業務やサービス開発など、さまざまな場面でのデータ活用が促進され、業務の生産性向上やサービスリリースまでのリードタイムの短縮につながります。

ビジネス戦略の創出

新たなビジネスモデルから得た大量のデータを分析することで顧客の行動やニーズを効率的に把握できることはもちろん、
今まで気づくことができなかった指標の関係性が見え、売り上げ拡大や新たなビジネス戦略につながるような大きなヒントを見つけることができます。

3. As a serviceモデルのメリット

データ利活用におけるAs a serviceモデルの採用は非常に重要です。
ここではAs a serviceを利用することで得られるメリットをご紹介いたします。

初期コストを抑え、ビジネスのペースにあわせられる

As a serviceでは従量課金の仕組みを取り入れることが一般的です。
さらに「使った分だけの利用料金」という料金体系はクラウドサービスでは当たり前となっています。
従量課金というシステムをうまく利用することにより運用コストを削減することが可能になります。
例えば、検証のために一時的に検証環境を作成する、利用しない時間帯は休止する、削除するということを意識しておけば必要最低限のコストに抑えられます。
また、利用した分の利用料金になるため初期費用も抑えることができます。
初期段階で費用対効果の見えづらいオンプレミスの環境では実現できません。

ビジネスの加速につながる

セキュリティは意識する必要がありますが、インターネットにつなぐことができる環境であれば場所や端末、時間を選ばずサービスを利用できるのもAs a serviceのメリットです。
As a serviceにより活用の自由度があがり、サービス開発やリリースの制約を減らせるといった点でもビジネスを加速させるポイントになります。

無駄を省き、ビジネスに集中できる

As a serviceを利用することにより、サーバーやシステムの運用管理が楽になることもポイントです。
サービスとして提供されることでこれまで自社対応が必要だった作業を大幅に削減することが可能です。
管理できていなかった、更新を忘れてしまった、遅れてしまった等といった問題を回避でき、無駄な時間やコストがかからなくなります。
そのおかげで得られた時間を本業に活用できます。

ビジネスモデルを変え、差別化につながる

As a serviceは異なるサービスとの連携がしやすいという特徴があります。
システムやサービス連携するためのAPIが公開されていることが多く、ユーザー主導、サービス提供者主導にかかわらずさまざまなサービスと連携が可能になります。
それによって企業独自のサービスモデルを構築することが可能になり、既に同じ分野で展開されているサービスとの差別化をにつながります。

4. As a serviceとデータ利活用事例

ここまでの内容を踏まえて、上述した株式会社ZOZOの事例に加え、As a serviceとデータ利活用の事例を2つご紹介します。

MaaS(モビリティサービス)事例

MaaSとは(Mobility as a service)の略でバスやタクシーなどの交通機関のシステムをクラウド上に統合することによって経路検索・予約から支払いまで一つのサービスで完結するサービスになります。

有名な「Uber」もこのMaaSのサービスに該当します。
Uberはクラウド上にプラットフォームを用意することによってユーザー情報、配車状況、ドライバーへの評価などを一貫して管理することによりデータを有効活用することができています。
これによりユーザーはアプリを起動し、数タップで車両を手配し、支払いまでスムーズにできるといった優れたユーザーエクスペリエンスを実現できています。

BaaS(バンキングサービス)事例

BaaSとはBanking as a serviceの略です。
大きく分類するとBlockchain as a service、Background as a serviceの2種類になります。
Background as a Serviceを銀行が提供するサービスに特化させたものをBanking as a serviceと呼びます。
APIを介して銀行のシステムとクラウドサービスを連携させることによりユーザーはアプリを通して複数人で積み立て預金をしたり、
口座を持たずにATMを利用することができたりと利便性の向上に繋がっています。

大手投資銀行の「Goldman Sachs」もBaaSを利用したビジネスを展開しています。
ユーザーが普段利用している他業種のサービスに金融のサービスを入れることにより、
大規模ユーザー基盤を所持している事業者から銀行のユーザーを獲得できています。
さらに、事業者側のメリットとして金融のサービスを手軽に組み込むことができるためサービスの利便性を高めることができます。

まとめ. DXの秘訣はAs a Serviceとデータ利活用

今回はDXを推進するためのいくつかのポイントをご紹介し、事例からデータ利活用やAs a serviceが共通点であることがわかりました。
DXを推進するステップとしてまずはデータのデジタル化を行い、どのようにデータを扱っていくのかを考えていく必要があります。
データのデジタル化がDXの第一歩となることは確かですが、単にデジタル化すれば良いというわけではなく、
蓄積していったデータをどのように業務やサービスに活かすのかをビジョンとして持っておくことが必要です。